米SEC、トークン化株のオンチェーン取引に暫定免除 暗号資産規制は議会から当局主導へ 米証券取引委員会は17日、米国上場株式をブロックチェーン上でトークン化して取引するための「イノベーション免除」を公表した。対象は、一定条件を満たすトークン化証券取引会場と流動性提供者で、従来の証券取引所やディーラー登録に関する一部規制から暫定的に免除される。米議会で包括的な暗号資産市場構造法案であるクラリティ法案が前進できなかった直後の発表であり、規制整備の主戦場が、少なくとも短期的には議会からSECとCFTCの行政対応へ移ったことを示す動きだ。 今回の免除は、暗号資産そのものの上場解禁ではなく、米国上場株式を裏付けにしたトークン化証券を、許可制の環境で取引できるようにする枠組みである。合成商品は対象外とされ、発行体には自社株の取引を拒む余地が残される。また、制裁順守、参加者管理、取引情報の透明性、詐欺・相場操縦規制の適用などが条件として置かれている。これは、完全な自由化ではなく、既存の証券法の中に実験区画を作るアプローチといえる。イーサリアムやソラナなどのパブリックチェーンが将来的な証券取引インフラとして使われる可能性は高まる一方、実際の採用は、発行体、証券会社、カストディ、監査体制がどこまで対応するかに左右される。 同じ日にCFTCも、一定条件を満たす受動的な取引ソフトウェア提供者について、紹介ブローカー登録をしなくても執行勧告を行わないとの方針を示した。これは、ウォレットや取引インターフェースの開発者にとって重要だ。暗号資産デリバティブやイベント契約への接続機能を提供する場合、単なるソフトウェア開発なのか、金融仲介なのかという境界線は長く不透明だった。今回のCFTC方針は、開発者が一定の開示や運用管理を満たせば、規制市場への接続機能を作りやすくする。ただし、ノーアクション方針は恒久的な法律ではなく、将来の委員会や政権で変更される可能性がある点は残る。 市場面では、規制期待の後退と金融引き締めが同時に意識されている。米上場の現物ビットコインETFは、クラリティ法案の上院手続き vote が失敗した後、約4億5000万ドル規模の資金流出を記録し、6月以来の大きな単日流出となった。さらに米連邦準備制度理事会は16日、政策金利を0.25ポイント引き上げ、目標レンジを3.75%から4.00%にした。リスク資産全体にとって金利上昇は割引率と流動性の面で重しになりやすく、ビットコインも短期的には政策ニュース、ETF需給、レバレッジ解消の影響を受けやすい局面にある。 今回の一連の動きは、暗号資産市場にとって単純な強材料でも弱材料でもない。議会による包括法制はつまずいたが、SECとCFTCは個別分野で規制の空白を埋め始めた。特にトークン化株と取引ソフトウェアの扱いは、金融市場の基盤をブロックチェーンへ近づける実務的な一歩である。一方で、暫定免除やノーアクションに依存する限り、制度の安定性は法律より弱い。投資家が注視すべきなのは、短期の価格反応だけでなく、どの企業がこの枠組みに参加し、どのチェーンが実際の決済・記録基盤として採用されるかだ。規制の文章が、今後の資金フローと市場構造を左右する段階に入っている。
クリプト見聞録 | ビットコイン, メタバース共有
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