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バイナンス流出後の資金退避、ETFにも波及 暗号資産市場で、世界最大級の取引所バイナンスを起点とする信用リスクの再評価が進んでいる。バイナンスは大規模な不正流出を受けて一時停止していた出金を段階的に再開し、その後、利用者による純流出額が約47億2000万ドルに達した。流出額は同社プラットフォーム上の資産全体の約2.8%とされ、取り付け騒ぎと呼べるほどの規模には至っていないものの、取引所リスクを巡る市場参加者の警戒感を鮮明にした。 今回の被害額は約63億ドル規模とされ、暗号資産業界でも過去最大級の盗難事件とみられている。バイナンスは、利用者に損失を転嫁せず、自社資金や準備金などで影響を吸収する方針を示した。出金再開はビットコイン、イーサリアム、主要ステーブルコインなどから段階的に進められ、一部の資産やネットワークでは引き続き制限が残る形となった。取引所としては、出金需要を満たしながら、二次被害や追加流出を防ぐという難しい対応を迫られている。 捜査面では、米連邦捜査当局が北朝鮮系ハッカー集団の関与を指摘している。盗まれた資産のうち相当部分はステーブルコイン発行体などによって凍結されたとされるが、ブロックチェーン上で追跡できることと、実際に回収できることは別問題だ。暗号資産は送金が速く、国境をまたぐ移動も容易なため、初動の凍結や取引所間の連携が遅れれば、資金は細かく分散され、回収は一段と難しくなる。 影響は現物市場だけでなく、米国の暗号資産ETFにも及んだ。米上場の現物ビットコインETFからは、ハッキング後の最初の取引日に約6億4300万ドルが純流出した。ブラックロックやフィデリティの主要商品が流出の中心となり、機関投資家の需要を映す指標として注目されるETFフローが急速に悪化した。現物イーサリアムETFでも資金流出が続き、10月の月間流出額は過去最大規模に達したと報じられている。 一方で、ビットコイン価格は急落後に一定の下げ渋りを見せ、7万8000ドル前後で推移した。これは市場が全面的なパニックに陥っていないことを示す一方、取引所の安全管理、準備金の透明性、保管体制への要求が今後さらに強まる可能性を示している。今回の事件は、暗号資産そのものの仕組みよりも、取引所の運用管理や権限設計が弱点になり得ることを改めて示した。市場の焦点は、バイナンスの最終報告、凍結資産の回収状況、そしてETFを通じた機関投資家マネーの戻り具合に移っている。

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