
高級ワイン3万本を盗んでも、どこで売るのか。イタリアで約5億円相当のワインが盗まれた事件は、窃盗団の組織力だけでなく、高級ワイン市場の流通経路を問う。 10月上旬、トスカーナ州コルトーナの名門ワイナリー、マルケージ・アンティノリから、2023年産のワイン約3万本、総額500万ユーロ(約9億円)相当が盗まれた。少なくとも7人が警報装置を無効化し、監視カメラを停止させ、2台のトラックに積み込んだ疑いがある。 盗まれたのは、コレクターにも人気の高い「ソライア」「ティニャネッロ」「グアド・アル・タッソ」。ソライアだけで1万本に上る。年間生産量が約6万〜7万本の銘柄を一度に大量に持ち出せば、正規市場での販売には不自然さが生じる。 私が気になるのは、盗み出す技術よりも、その後の換金経路だ。高級ワインは銘柄、ヴィンテージ、保管状態によって価値が決まり、買い手も限られる。これほどの量を売りさばくには、転売先や買い手との接点が必要になる。 同社は世界中の顧客に、正規ルート以外からの格安販売に注意するよう呼びかけている。捜査では、2台のトラックの移動経路に加え、盗品がどの市場へ持ち込まれるかが、組織的な犯行の実態を解明する手掛かりになる。
