
米規制判断と大手金融の実装が進む暗号資産市場 暗号資産市場では、米国の規制判断と大手金融機関の実装が同時に進んでいる。米証券取引委員会の企業金融部スタッフは、Canton Networkのネイティブ資産であるCanton Coinについて、提示された事実関係に基づき「デジタル商品」とみる考えを示した。あわせて、同ネットワークの参加者がプログラム上の仕組みに従って同コインを発行する場合、証券登録をしていないことを理由に執行措置を勧告しないとの立場も示した。 この判断は、すべての暗号資産に広く適用される包括的な免責ではない。SECスタッフ自身も、今回の立場は提出された説明に依拠したもので、異なる事実関係なら結論が変わり得るとしている。ただし、市場構造の観点では重要だ。Canton Networkは金融機関向けのブロックチェーン基盤として知られ、株式や債券など既存金融資産の移転や管理に使われることを想定している。そこで使われるトークンに対し、SECスタッフが「証券ではなく商品に近い」と読む余地を明確にしたことは、金融機関がブロックチェーンを業務基盤として使う際の不確実性を一部下げる材料になる。 同じ流れの中で、Morgan StanleyがDTCCのトークン化サービスを使い、米国株や米国債のトークン化に参加する初期の大手銀行の一つになったことも報じられた。DTCCは米国証券市場の決済インフラを担う中核機関であり、同サービスではDTCに保管された証券を裏付けに、ブロックチェーン上で扱える形のトークンを発行する。トークンは元の証券の権利や投資家保護を引き継ぎ、既存証券との交換も可能とされる。これは、暗号資産市場の外側にある伝統金融の資産が、オンチェーンの処理と接続され始めたことを示す。 一方で、規制面の追い風ばかりではない。Blockは、マネーロンダリング対策を巡る米司法省の調査について、約7億6400万ドルを支払う方向で原則合意したと開示した。合意案では、銀行秘密法上求められる有効な対策プログラムを維持できていなかったとの刑事訴追について、3年間の訴追延期合意が想定されている。Blockはすでに同額を引き当てている。さらに同社のビットコイン関連粗利益は第3四半期に5200万ドルと、前年同期の1億400万ドルから半減した。主因はCash Appで一部ビットコイン取引手数料を引き下げたこととされる。 市場価格面では、米中間選挙を巡る不透明感がいったん後退し、ビットコインは一時7万6000ドルを下回った後、7万8000ドル台へ戻した。民主党が議会で勢力を強めれば、暗号資産に友好的な法案の進行には逆風となり得るが、結果が明確になったことで短期筋の買い戻しが入った形だ。足元の焦点は、ETFからの資金流出が止まるか、そしてSECの個別判断やDTCCの実装が、単発の材料ではなく制度整備の流れとして広がるかに移っている。価格の反発だけでなく、規制、決済インフラ、コンプライアンスの三点がそろって前進するかが、次の市場評価を左右しそうだ。
